サボテンは中南米などの砂漠に生息しているというイメージから、暑い気候でなければ育てられないと思われがちです。「寒さに弱く、日本の冬を乗り越えることは難しいのではないか」と心配される方も多いのですが、そのようなことはありません。
種類にもよりますが、ほとんどのサボテンは寒さに耐えることができるため意外と簡単に冬越しができるのです。多くの場合は凍結させない限り枯れることはないでしょう。
ここでは、サボテンが日本の冬を越すためのポイントをお伝えします。
1.サボテンの冬越しのための基礎知識
1-1.冬はサボテンの休眠期
サボテンには、「生育期」と「休眠期」があることを覚えておきましょう。サボテンが自生している地域は雨季と乾季がはっきりと分かれています。そのため、水をたくさん吸い上げてグングンと成長する期間と、あまり水を必要としない休眠期があるのです。成長期には花を咲かせることがあるほどイキイキとしていますが、休眠期には全体的にしぼんだような状態になります。
日本の季節でいうと、サボテンの成長期は春と秋です。真夏と冬にはサボテンは休眠期に入っているので、水も栄養もあまり必要ありません。
ただし、サボテンの種類によっては休眠期の時期が異なる場合もあります。ご自分が育てているサボテンの休眠期はいつになるのか、調べておくとよいでしょう。ここでは、冬に休眠期を迎える一般的なサボテンについて話を進めていきます。
1-2.サボテンは寒さに強い
これも種類によって異なりますが、ほとんどのサボテンは寒さに強い性質があります。サボテンは乾燥や暑さに強くて寒さに弱い、というイメージは一度取り去ったほうがよいでしょう。
自生しているサボテンも、実際には岩陰に隠れるように強い日差しから逃れていますし、育っている土地が高地のため夜には0度くらいまで冷えこみます。そのため、寒さに耐える力が備わっているのです。サボテンが丈夫に育つためには、この寒暖差は欠かせないといっても過言ではありません。
しかし、寒さに強いからといって、冬場に一日中寒い場所に置きっぱなしというのは避けましょう。暖かい環境を与えられるのであれば、そのほうがサボテンにとっては嬉しいことです。特に、日光にはよく当ててください。そのうえで、冬場にしっかりと休眠させてあげて、春以降の成長期に備えます。
1-3.寒さに弱いサボテンの種類
すでにお伝えしたとおり、種類によっては寒さに弱いサボテンもあります。たとえば、冬でも5度を下回らないような地域で育ってきたサボテンは、常に5度以上の温度を保ってあげる必要があるので注意してください。メロカクタス属、ディスコカクタス属、ユーベルマニア属がこれに当てはまります。とはいえ、5度以上をキープしてあげれば冬越しは問題なくできますので、安心してください。
2.サボテンの冬の管理ポイント
2-1.冬はサボテンにたっぷりと日光を与える
サボテンは年間をとおして、日当たりの良い場所を好みます。暑い時期には直射日光に注意が必要ですが、寒い冬の場合は日光をたっぷりと当ててください。
冬の日中は、日がよく当たる部屋の窓際に置いてあげるとよいでしょう。寒さに強いサボテンですと戸外でも冬を越せますが、できるだけ室内に置き場所を移してあげることをおすすめします。雪や霜には決してあてることのないように気をつけてください。
室内でも窓の近くですと夜は冷え込みます。夜は窓から離れた場所に置きましょう。
2-2.冬のサボテンは水やり不要
砂漠の乾季では、雨がほとんど降らない時期が続きます。ですから、休眠期である冬には水を切らした状態にしておきましょう。
休眠期に入っているときには成長をあまりしませんから、頻繁に水を与えると枯れてしまいます。水をあげるとしても、月に1度くらいにしておきましょう。土が少しでも湿っているようであれば、水やりは行わないでください。よく晴れた日の午前中に少量あげるだけで十分です。
大きめのサボテンならば、水を完全に断ってしまってもよいでしょう。ただし、まだ小さな苗は水を溜め込む力が弱いので、水やりの回数は多めにしても構いません。
そして、凍結には十分に注意をしてください。水やりの回数を減らせばサボテンの凍結を防げます。寒さに弱いサボテンや凍結の心配がある場合にも、水やりを完全にやめてしまいましょう。
また、冬に水を与えるときには水温にも気を配ると安心です。可能であれば、15~20度くらいのぬるま湯を使うことをおすすめします。
2-3.真冬の植え替えはNG
サボテンは1年に1度の割合で植え替えをすると、元気に育ちます。成長してくると鉢が小さくなりますし、土も古くなるためです。鉢の中で根が詰まってしまえば成長に影響がでますから、植え替えが必要となります。
しかし、休眠期である冬には植え替えは行いません。サボテンの植え替えは、育成期に入る直前の春先や秋口が適しています。
3.サボテンの温度管理法
3-1.5度を下回らないように
サボテンを凍傷から守るために、サボテンを置いている場所が5度を下回るようになったら保温対策を始めてください。外の最低気温が5度を下回るようになってきたら、室内へ移すなど対処しましょう。春になって最低気温が10度を超えるようになるまで、保温管理を続けます。
3-2.温室や保温フレーム
庭やベランダなど外に置いたまま冬を越したい場合には、植物を寒さから守るための温室や保温フレームを利用するとよいでしょう。小型のものからサイズも豊富にあり、手軽に組み立てられるタイプが多く販売されています。ビニールの温室にいれてあげれば、冬の寒さや冷たい雨風から守ることが可能です。
3-3.暖房に注意
冬の窓辺は朝晩の冷え込みが激しいため、サボテンが凍ってしまう可能性があります。夜には場所を移し替えてあげてください。だからといって、暖房の効いた部屋に置くのは好ましくありません。
ほとんどのサボテンは寒暖差の激しい地域に育つため、暖房による温度の変化には耐えることはできます。しかし、冬に暖房のある部屋で管理をすると花のつき具合に悪影響を及ぼすこともあるので注意が必要です。
4.冬の管理はサボテンにとても大切
4-1.冬越しの対策をしないと・・・
サボテンは寒さに強いからといって冬に必要な管理をしっかり行わないと、サボテンを枯らしてしまうことがあります。冬越しのポイントは、サボテンをしっかりと休眠させることです。こうすることで、成長期にしっかりと育ちます。
冬のサボテンは乾燥してしなびている状態で、心配になるかもしれません。しかし、きちんと休眠することができたサボテンは、春になるとトゲのツヤもよくなり、果肉の色も濃くなってきます。美しい花を咲かせることもあるでしょう。
4-2.冬に入る前も肝心
サボテンの冬越しを成功させるためには、健康な状態で冬を迎えるということも大切です。冬が訪れる直前までたっぷりと光合成を行えるようにしておきましょう。太陽の光を十分に浴びせ、適切な水やりを行い、必要な肥料も与えてサボテンの状態を最高にしておくのです。ここまで行えれば、サボテンの冬越しは完璧でしょう。
まとめ
このように、サボテンの冬越しはポイントさえ押さえておけば難しいことではありません。
- 冬はサボテンの休眠期である
- 冬はサボテンにたっぷりと日光を与える
- 冬のサボテンは水やり不要
- 5度を下回らないように温度管理をする
- 暖房には注意
これらのポイントをしっかりと守って冬を無事に越し、春には元気なサボテンを見られるようにしましょう。