抜いても抜いても・・・。家庭菜園の天敵! 雑草対策の基本とは?

抜いても抜いても、また生えてくる。まるでゾンビかと嘆きたくなる驚異の再生力。家庭菜園を楽しむ人にとって、雑草対策は悩みの種です。ましてや、家庭菜園の初心者にとっては、なおさらでしょう。心を折られそうになり、「もうやめた!」と思いたくなった経験があるのでは?でも、ちょっと待ってください。基本を押さえておけば、畑のやっかい者をやっつけることは可能ですよ。

  1. 雑草の種類
  2. 雑草対策の基本
  3. 除草剤の選び方と使い方
  4. まとめ

1.雑草の種類

日本の耕地に生えている雑草は、ざっと水田で200種類、畑では300種類といわれています。もっとも、何をもって雑草とするのでしょうか。他人が見れば雑草でも、「いや、私にとって、これは大切な植物だ」という方もいるはずです。
でも、家庭菜園を楽しむ人に限っての雑草とは、「自分が栽培している野菜の生育をじゃまするやっかい者」。この点だけは共通していると思います。雑草がよく伸びるのは5月から10月。特に、夏季には1日で2cmも伸びるほどです。自分の菜園が雑草に覆われた姿を見ると、ブルーな気持ちになるでしょう。

1-1.畑地のそばに多いイネ科雑草

日本の雑草を分類すると、イネ科、カナツリグサ科、トクサ科、広葉などがあります。いずれも、畑の近くによくある雑草です。中でも、もっとも身近にあるのは、イネ科でしょう。オオバコ、メヒンバ、ススキなどです。カヤツリグサ科ではハマスゲ、トクサ科ではスギナ、広葉ではカタバミなど。これらも、畑の近くに見られる雑草です。

1-2.生育サイクルでは2タイプ

雑草の生育サイクルから見ると、一年生と多年生があります。
一年生というのは、毎年、春になると芽を出し、冬に枯れる雑草のこと。いわゆる夏草です。毎年、秋に芽を出し、翌年の夏前に枯れてしまう一年生もあります。こちらは冬草です。
多年生というのは、毎年春になると、同じ場所から芽を出す雑草のこと。冬に地上部は枯れますが、実は地下茎が生き残っています。だから、毎年、同じ場所で芽を出すのです。

2.雑草対策の基本

雑草対策というと、草むしりや草刈りなどをイメージしますが、これだと、どうしても対症療法的な対応になってしまいます。できることなら雑草が生える前に何とか手を打ちたいものです。

2-1.生える前に除草

雑草が生える前に対策を採るのは、もっとも理想的な方法です。たとえば、家庭菜園に何もない時期に土起こしをすると、春先の雑草の出方が驚くほど変わってきます。深さは20~30cmくらい。シャベルなどを使って裏返して耕しておくと、空気も入り込み、野菜の成長もよくなります。

2-2.生えた雑草は「抜け!」

雑草がすでに生い茂っている場合の除草は、雑草抜きが基本中の基本です。部分的には、草刈りもやむを得ないでしょうが、根を残さずに取り除くのがベスト。草刈りだと根の部分が残り、すぐにまた生えてきます。
もちろん、根こそぎに抜いても、雑草がまた生えてくることもあるでしょう。雑草の種が風に乗ってきて根づく可能性があるからです。でも、草刈りに比べて、はるかに長もちします。家庭菜園のような広くない場所だと、もっとも有効な方法です。

2-3.土地を覆って雑草が生えないようにする

マルチングといいます。土の表面をビニルフィルムや藁(わら)などで覆い、雑草が生えにくくする方法です。種をまく前で、野菜が栽培されていないような場所に使います。取り除いた雑草を、マルチングしてはどうですか?やっかい者にしか見えない雑草を、こんなかたちで有効利用する手もあります。

2-4.除草剤を使って除去する

雑草を除去するという点では、とても効率的です。雑草の中には、生えていても作物にあまり影響を与えない種類もあります。でも、見た目だけでなく、実害をおよぼす雑草も数多く存在するのも確か。以下のような影響が指摘されています。

  • せっかく肥料を施したのに、雑草に栄養分を取られてしまい、野菜がうまく育たない。
  • 病気や害虫が発生しやすくなり、野菜に感染して広まってしまう。
  • 高く伸びた雑草が日光を遮り、野菜の品質や収穫量が落ちてしまう。

3.除草剤の選び方と使い方

除草剤と聞くと、有機栽培を目指している人にとっては、ちょっと抵抗があるかもしれません。でも、安全に使えば、除草をグッと楽にしてくれます。人力による除草の王道は抜き取りですが、かなりの体力が必要です。除草剤と上手に使い分ければ、負担も軽くなります。
地下茎でつながっている駆除困難雑草は、除草剤による方がいいでしょう。

3-1.必ず農耕地用の除草剤を

除草剤には、大きく2つがあります。農耕地用と非農耕地用です。家庭菜園には、必ず農耕地用を選んでください。野菜を植える家庭菜園に、非農耕地用の除草剤は厳禁です。農耕地用は、畑に使ってもまったく問題はありませんが、非農耕地用は、野菜を食べた人に害毒をもたらしてしまいます。

3-2.野菜を植える前に除草したいときは?

野菜を植える前に除草しておきたい。そう考える人は多いと思います。そんなときには、「非選択性茎葉処理移行型」と書かれている除草剤を使ってください。野菜を植える前に生えていた雑草だけを、うまく枯らしてくれます。しかも、あとから植える野菜には「無害」という優れた除草剤です。

3-3.雑草をまったくなくしたい

雑草がまったく生えないようにしたいと願う人は、1年間だけガマンしてください。この間、除草剤をまいておくと、夢が叶(かな)うということです。4月から10月までの間、3週間から1か月ごとに除草剤を1回まきます。すると、翌年には雑草がなくなるそうです。
もしも、楽しい野菜づくりをガマンできる自信があれば、試してみてもいいと思います。

4.まとめ

家庭菜園の初心者向けに、雑草対策の基本を紹介しました。

  1. 雑草の種類
  2. 雑草対策の基本
  3. 除草剤の選び方と使い方
  4. まとめ

家庭菜園の愛好者にとって、育てる楽しみ、収穫のときの喜びは、何物にも変え難いものでしょう。畑のやっかい者も、基本さえしっかりしていれば、それほど苦にはならないと思います。あとは経験と知識の積み重ね。家庭菜園を、思いっきり楽しんでください。