園芸初心者の方必見! 失敗しない「植木鉢の選び方」

「今から園芸を始めてみよう」と考えている初心者の方にとって、「鉢の選び方」は最初に立ちはだかる障害といえるでしょう。園芸鉢といっても、実際には多くの種類があります。この記事では鉢の種類・素材について紹介するとともに、園芸初心者の方でも自分にあった鉢をチョイスできる、鉢の選び方をご紹介しましょう。

  1. 初心者向けの「鉢の種類・素材」
  2. 経験者向けの「鉢の種類・素材」
  3. 植木鉢選びのポイント

1.初心者向けの「鉢の種類・素材」

数多くある植木鉢の種類。まずはそのなかから初心者におすすめの素材についてご紹介したいと思います。園芸を始めてまだ間もない方、鉢選びに自信が持てない方は、初心者向けの鉢を選んでみましょう。

1-1.素焼き鉢

素焼き鉢は、土を焼き固めて作った鉢です。比較的ポピュラーな鉢なので見かけることも多いでしょう。特にイタリアの土を使ったものは「テラコッタ」と呼ばれています。土が素材ということで、鈍重な印象を持つ人もいるでしょう。しかし、素焼き鉢の真価は通気性の良さにあります。表面に無数の目には見えない小さな穴がたくさんあいており、その穴を通して水分、空気が出入りするため、なかがジメジメすることがないのです。また、水だけでなく熱も通しやすく、なかに入れた植物の根が熱でやられてしまう心配もありません。

デメリットとしては、非常に重いことが挙げられます。素材が土ですからやむを得ないとはいえ、力のない方は持ち運びするのも一苦労です。また、強度もないためちょっとしたことで壊れやすく、傷がつきやすいのも難点といえるでしょう。

1-2.ハンギングバスケット

ハンギングバスケットとは、ワイヤーなどで植物を入れたバスケットを吊したもののことをいいます。バスケットの材質としてよく使われているのは、ヤシの木などの軽い植物繊維を乾燥したものです。厳密には鉢ではありません。しかし、園芸ではよく使われる手法なのでここで学んでおきましょう。

ハンギングバスケットの特徴は、高い位置に植物を飾ることができるので、目線のそばで鑑賞することができるという点です。地面から離すため病害虫にもかかりにくくなります。デメリットは、乾燥しやすいため、水やりを頻繁に行わなくてはならないという点です。また、強風にあおられ、バスケットが落ちてしまうことも考えられるので、台風などの季節には注意しましょう。

1-3.木製鉢

木製鉢はその名のとおり、木を素材としています。木ももともとは植物なので、園芸植物とは相性が良く、見た目上の親和性が高いのが特徴です。つまり、「植物となじみやすく、見ていて落ち着くデザインになる」といえるでしょう。

一方、元が植物ならではの弱点も抱えています。水に浸していると腐りやすいということです。腐るのを防ぐには、直接土を入れず、ほかの鉢のカバーとして使う方法があります。見栄えの良さだけを堪能することができるでしょう。

2.経験者向けの「鉢の種類・素材」

この章では、どちらかというと初心者には難易度の高い鉢をご紹介していきます。最初は前の章で紹介した鉢を使い、徐々に慣れてきたら扱いの難しい鉢にも挑戦していく、という順番がいいでしょう。

2-1.駄温鉢

駄温鉢は先に紹介した素焼き鉢の仲間です。素焼き鉢のなかでも特に高温で焼いたものが駄温鉢と呼ばれています。素焼き鉢と同じ種類ということで、基本的な性質も素焼き鉢に準じており、「通気性がよく蒸れにくい」のが特徴です。

高温で焼き固めただけあって、通常の素焼き鉢よりも固く簡単には割れません。ただし、素焼き鉢と比べると水はけが若干悪くなっているので注意が必要です。

2-2.プラスチック製の鉢

プラスチック製の鉢は、ホームセンター等でもたくさん売られていることから、何気なく使っている人も多いでしょう。しかし、実は上級者向けの鉢なので気をつけなくてはなりません。

プラスチックなので、軽くて持ち運びは簡単。しかも、固いためになかなか壊れることもありません。しかし、当然デメリットもあります。通気性は非常に悪く、水分がたまってしまいやすいため、根腐れが起こることも。加えて、ネックなのが熱伝導率の高さ。夏は日光を受けて鉢のなかが高温になりやすく、冬は逆に土が凍ってしまいやすくなるのです。 第一、 見た目のデザインが安っぽいものも多いため、初心者の方にはあまりおすすめできません。

2-3.化粧鉢

化粧鉢は、最も華やかな鉢といえるでしょう。陶器製の鉢のうえにうわ薬を塗り、美しい装飾が施された鉢です。デザインの面からいえばまさに最高峰の品だといえるでしょう。 ただ、陶器というだけあって通気性は非常に悪いです。

また、重さもあるので簡単に持ち運ぶのは難しく、扱いは簡単ではありません。華やかなデザインが施されていることから、値段も高いものが多く、最初から挑戦するとハードルが高すぎて園芸そのものに挫折してしまう可能性も。ある程度経験を積んでから挑戦した方がいいでしょう。

3.植木鉢選びのポイント

「園芸初心者向けの鉢」と「経験者向けの鉢」をそれぞれ紹介してきました。この章では、具体的に植木鉢をどのような基準で選んだらいいのかご紹介しましょう。

3-1.ポイントは「通気性」通気性の悪い鉢は上級者向け

「経験者向け」として紹介した3種類の鉢に共通する特徴は、「通気性が悪い」という点です。なぜ通気性が悪いと初心者にはおすすめできないのでしょうか。 園芸初心者の方がやってしまいがちな間違いとして、「水のやりすぎ」があります。本来あげるべきではないほどの水を植物に与えてしまうことで、根腐れを起こしてしまうのです。こうした「水のやりすぎ」を防ぐため、最初はできるだけ水はけの良い鉢を使いましょう。

土が湿っている感じはわかりやすいもの。しかし、乾燥した土に「どれくらいの頻度で水を与えればいいのか」は、植物の種類によって異なります。経験を積まなければわかりにくいため、最初は「水をやり過ぎても大丈夫」なように備えておくほうがいいのです。

3-2.初心者には通気性の良い「素焼き鉢」がオススメ

というわけで、初心者にオススメの鉢は「通気性が良いもの」ということになります。ほかの特性も合わせて考えた場合、中でも「素焼き鉢」がオススメといえるでしょう。

ハンギングバスケットは通気性という面では申し分ありません。しかし、高いところに置くという不安定さを抱えています。木製鉢は直接土を入れると腐りやすいという弱点がネック。消去法で扱いやすい素焼き鉢が最適ということになります。 素焼き鉢も「重い・壊れやすい」と弱点を抱えているため、完璧とはいえません。しかし、定位置にセットさえしてしまえば、植物を育てるうえでの難点は少なくなります。

3-3.状況に応じた植木鉢の選び方とは?

経験を積んでいくことで、徐々に最適な植木鉢を選ぶことができるようになるでしょう。選び方のポイントは、「自分の性格×植物の特徴」です。

「水やりが好きで、いつも頻繁にしていたい」という方は通気性の良い鉢をメインに使いましょう。逆に、水やりをよく忘れてしまうという方は、通気性が悪く、水をよくキープしてくれる鉢のほうがおすすめです。

また、乾燥に強い植物を植えるのなら、通気性がいい鉢で構いません。一方、乾燥に弱く、頻繁な水やりが必要な種類の植物なら通気性の悪い鉢を選んだほうがいいでしょう。

以上のように、「自分の性格と植物の種類の組み合わせによって、最適の鉢を選ぶこと」が鉢選びの基本的な考え方です。

まとめ

今回は園芸初心者の方のために、園芸鉢の種類と素材ごとの特徴、そして鉢の選び方をご紹介してきました。最後にもう一度流れを振り返ってみましょう。

  1. 初心者向けの「鉢の種類・素材」
  2. 経験者向けの「鉢の種類・素材」
  3. 植木鉢選びのポイント

最初は簡単な鉢から試していき、徐々に経験を積んで難しい鉢にもチャレンジしてみましょう。