今は、庭だけでなくベランダでもガーデニングを楽しむ人が増えています。美しい花やおいしい野菜を育てられるガーデニングは手軽に始められる趣味ですが、案外困るのが園芸土の始末です。プランターひとつ分の土でもそれなりの重さがありますし、自治体によってはゴミとして回収してくれないところもあります。そこで、おすすめなのが、園芸用の土の再利用です。
今回は、園芸用の土の再生方法をご紹介しましょう。
園芸用の土をどうやって始末してよいか悩んでいるという方は、ぜひ読んでみてくださいね。
1.園芸用の土と普通の土の違いって何?
ガーデニングを始めるときは、園芸店やホームセンターで園芸用の土を買ってきます。園芸用の土は、普通の庭土などと違い植物を育てやすいように栄養を高め、水はけをよくしたものです。ですから、全国から「園芸に適した土や石」を集めてブレンドして作られます。
また、植物によっては自分でブレンドした園芸土を使う方もいるでしょう。ですから、園芸用の土は不要になったからといって公園や河川敷などに捨ててはいけません。雨が降ると土が流れだして、排水溝などをつまらせることもあります。
土の中に残っていた植物の種子が発芽すれば、捨てた場所の生態系を破壊するかもしれません。特に、ミントをはじめとしたハーブ類はとても生命力が強く、根が少しでも残っていれば発芽するといわれています。ですから、園芸用の土を捨てる際は必ず自治体や専門の業者に依頼しましょう。
2.古い土はそのまま再利用できないの?
では、一度使った園芸土はそのまま再利用できないのでしょうか? この項では、古い園芸土をそのまま使った場合のデメリットをご紹介します。
2-1.栄養がなくなる
おいしい野菜を実らせたり美しい花を咲かせたりするには、たくさんの養分が必要です。植物は根から養分を吸い上げます。ですから、植物を育て終わった土は見た目が変わっていなくても、栄養が不足しているのです。このまま次の植物を育てても、うまく育ちにくいでしょう。
2-2.病原菌がいるかも
植物の病気は、土を媒介(ばいかい)して発生することが多いです。ですから、育てていた植物が病気になった場合は、土にも病原菌が繁殖(はんしょく)していることが多いでしょう。
また、病気によっては発症しやすい植物と発症しにくい植物があります。なので、今回は無事に植物が育ったからといって土の中に病原菌がいないとは限りません。別の植物を植えれば、病気が発生する可能性があります。
2-3.連作障害が出るかも
連作障害とは、同じ植物を何度も続けて育てるとうまく育ちにくくなる障害のことです。畑に発生することの多い障害ですが、プランターや植木鉢の土でも起こる可能性があります。ですから、「毎年同じ植物を育てている」という方は、毎年土の再生を行った方がよいでしょう。
3.園芸用の土の再生方法とは?
この項では、園芸用の土を再生させる方法を具体的にご紹介します。いったいどのような方法で土を再生するのでしょうか?
3-1.土を掃除する
まずは目の細かいざると新聞紙を用意して、土を掃除します。土を入れたふるいを新聞紙の上でふるってください。根やゴミ・石や虫などがあったら取りのぞきましょう。植木鉢の底に入っている石は再利用できますので取っておいてください。このとき取りのぞいたゴミは、自治体のルールに従って処分しましょう。
3-2.土を消毒する
次に、余計なものを取りのぞいた土を消毒します。一番簡単な方法は日光による消毒です。
土を新聞紙の上などに広げておいて、風で飛ばないように網などをかぶせます。そのまま1週間ほど置いておきましょう。土を広げる場所がない人は、黒いビニール袋に土を入れて水をかけてください。黒いビニール袋はゴミ袋として売っていますので、ホームセンターなどで買いましょう。そのまま袋の口をしっかり縛って、直射日光に当たる場所に放置してください。時々ビニール袋の位置を変えて全体に日光が当たるようにします。
真夏では約1週間、冬場では1か月そのまま放置しておけば消毒完了です。「時間がない」という場合は、土に熱湯をかけたり土を焼いたりします。どちらもヤケドに気をつけて行ってください。また、土に熱湯をかけたり焼いたりするためには、耐熱性の道具が必要です。
3-3.リサイクル材や用土、有機物などを混ぜる
土の消毒が完成したら、土のリサイクル材や新しい用土、腐葉土などを混ぜてください。土のリサイクル材というのは、古い土を再生するものです。インターネット通販などでもいろいろな種類のものが取り扱われているので、探してみましょう。
また、土を消毒するとどうしても体積が減ります。そのような場合は、新しい用土や腐葉土を足してください。リサイクル材は、使い方をよく読んでから使用しましょう。これで、土のリサイクルは完了です。
夏場は1週間前後、日光の弱い冬場は1か月前後かかると考えておいてください。雨が多い時期は土のリサイクルにも時間がかかります。ですから、土の再生は夏や冬の終わり、植物栽培が一段落しやすい時期に行ってください。
4.園芸土の再生で気をつけること
4-1.鉢を増やしすぎない
現在は、ベランダを庭のように使う人も増えています。まるでベランダとは思えないような植物があふれている写真を、雑誌やインターネット上で見たことがある方もいるでしょう。しかし、ベランダは共有スペースです。火災や地震が起きた際はベランダが避難通路になります。
ですから、ベランダに鉢やプランターを置きすぎると管理会社から注意されることもあるでしょう。
また、マンションの場合は土の再生中に強い風が吹くと、土が近隣の部屋まで飛びちることもあります。そうなると、ご近所迷惑ですね。ですから、ベランダガーデニングを行う際は、鉢やプランターを増やしすぎないことが大切。だいたい2~3つくらいのプランターがあれば、十分にガーデニングは楽しめるでしょう。
4-2.梅雨時期は避ける
梅雨時は湿気が高く、土壌内で細菌が繁殖しやすくなる時期です。土の再生は空気が乾燥し、晴れる日が多い時期に行いましょう。また、土を濡らしてしまった場合は新聞紙等に広げて乾かしてください。
4-3.耐熱性容器を使う
土の消毒に熱湯を使用する場合は、必ず耐熱性の容器にいれて行ってください。ベランダで行う場合も耐熱性容器に入れましょう。直接お湯を流せば床がいたむ可能性があり、水漏れも心配です。ただし、素焼きの植木鉢などは水を通してしまいますので、注意してください。耐熱性プラスチックの容器などがおすすめです。
5.よくある質問
Q.土は消毒すれば何度でも使えますか?
A.はい。腐葉土やたい肥、新しい土などを追加すれば大丈夫です。
Q.新しい土は、公園などの花壇から取ってきても大丈夫でしょうか?
A.公園などの花壇は自治体が管理している共有財産です。勝手に持っていってはいけません。
Q.土の消毒が失敗したら、何か症状が出ますか?
A.素人では見分けがつきにくいのですが、土がいつまでもぐじゅぐじゅと湿っているような場合は、残念ですが処分したほうがよいでしょう。
Q.土を消毒すれば、病気などが発生しにくくなりますか?
A.いいえ。新しく土やたい肥を混ぜ合わせれば、どうしても細菌類もついてきます。
Q.万が一土を捨てることになった場合は、どうすればよいでしょうか?
A.自治体が土をゴミとして回収してくれる場合は、ゴミに出してください。ホームセンターでも引き取ってくれるところがあります。
6.おわりに
いかがでしたか? 今回は、園芸用の土の再生方法をご説明しました。
まとめると
- 園芸用の土は何度も続けて使用することはできない。
- 土を再利用する際は、ゴミや根や虫を取りのぞいて土を消毒しよう。
- 土を消毒する期間は、夏ならば1週間冬ならば1か月が目安。
ということです。土を再利用するよりも新しい土を使った方が面倒がなくてよいという人もいるかもしれません。しかし、自治体によっては少量の土でも捨てられないこともあります。
いちいち業者に依頼すれば、回収料もかかるでしょう。
ですから、使えるものは再利用した方がエコです。プランターひとつ分の土ならば、それほど量はありません。また、今度は別の植物を育てたいという場合は土を再生しながら、新しく育てる植物に合わせたブレンドをしていきましょう。園芸店に行けばいろいろな種類の土が売っています。自分で一から土を作っていけば、植物に対する愛情もより高まっていくでしょう。