サボテンは、初心者でも育てやすい植物です。ほかの植物よりも水を与える必要がなく、世話に手間をかける必要もありません。また、コンパクトなサイズが多く、種類も豊富でインテリアとして楽しめることから、人気が上昇しています。しかし、サボテンの中には成長速度の速い種類もあり、成長期に入れば十分な水分を与えなければなりません。育て方が簡単だからといって、甘く見ていては枯らしてしまう恐れがあるため、きちんと基礎知識を身につけることが大切です。
そこで本記事では、サボテンの基礎知識や成長速度・成長させる育て方・購入方法などについて説明します。
この記事を読むことで、サボテンを成長させるために必要な知識を身につけることができます。成長速度を知りたい方や育てたいと思っている方は、ぜひチェックしてください。
1.サボテンの基礎知識
サボテンの成長速度について知る前に、基礎知識を深めておきましょう。どんな植物なのか、種類や人気の理由・種類について詳しく説明します。
1-1.どんな植物か?
サボテンは、サボテン科に属する植物の総称で、メキシコを中心にアメリカ大陸の熱帯から続く乾燥地帯に生息している多年生の多肉植物です。多くは鉢植え・花壇・温室などで、観賞用として育てられています。茎は塊状・ひも状・柱状となっており、一般的に葉はついていません。とげを持つものが多く、ほとんどは美しい色彩の花を咲かせることができるのです。また、ほかの植物に比べて、乾燥に強い点が特徴となります。
1-2.種類について
サボテンの種類は豊富で、約140属2,000種以上が存在していると言われています。園芸用としては、エビサボテン・森林性柱サボテン・ウチワサボテン・玉サボテン・柱サボテン・葦(あし)サボテン・木の葉サボテンの7種類です。それぞれの特徴を以下にまとめました。
- エビサボテン:中小型・円筒状のサボテンで、花が色彩に富んでいる
- 森林性柱(ひも)サボテン:茎(くき)が細いひも・柱状をしている
- ウチワサボテン:平たい楕円形のような茎(くき)が特徴的。茎(くき)が団扇(ウチワ)のように見える
- 玉サボテン:茎(くき)が丸くてかわいらしい形をしている
- 柱サボテン:茎(くき)が柱状になる雑多なサボテンが多い
- 葦(あし)サボテン:独特の形が特徴的で、種類によって異なる
- 木の葉サボテン:半分つる草のように樹木に寄りかかりながら、上に高く伸びる
1-3.人気の理由
サボテンが人気の理由は、主に3つあります。1つ目は、育てやすさです。乾燥に強く、頻繁に水やりをしなくても育てることができます。仕事や家事で忙しい方や初心者の方でも、比較的楽に育てることができるでしょう。2つ目は、種類が豊富なことです。さまざまな種類があるため、自分が好きな形やサイズを選ぶことができます。3つ目は、サボテンの特徴となる花です。種類によって花の形や色が異なり、それぞれの種類で楽しむことができます。
1-4.人気の種類
多種多様なサボテンの中でも人気があるのは、小型種です。キッチンや窓際・デスク・玄関口など、室内のいろいろな場所に置いて育てることができます。特に、代表的なサボテンと言える金鯱(キンシャチ)や小金司(コガネツカサ)・金松玉(キンショウギョク)・金晃丸(キンコウマル)が人気です。
2.サボテンの成長速度は?
サボテンやミニサボテンの成長速度・年に大きくなるサイズ・花について説明します。
2-1.サボテンの成長について
サボテンは、1年のサイクルに成長期と休眠期があります。成長期は春と秋、休眠期は真夏と真冬です。成長期に入ると、水分を吸収してどんどん茎(くき)が伸びていきます。しかし、休眠期に入ると成長が止まり、全体的にしぼんだような状態になるのです。サボテンを上手に成長させるためには、成長期・休眠期をきちんと理解して、そのときに適した育て方をしなければなりません。
2-2.ミニサボテンの場合
ミニサボテンは、サボテンを小さく仕立てたものです。一般的なサボテンよりも手軽に育てられると思いがちですが、ほとんどは土がのりで固められています。ミニサボテンも春と秋が成長期で、夏と冬が休眠期です。鉢底から水が出ないように植えられているため、水をたっぷり与えることができません。そのため、成長期は一気に水をあげるのではなく、何回かに分けて与える必要があります。
2-3.年にどのくらい大きくなるか?
サボテンの種類によって、年に大きくなるサイズは異なります。たとえば、ミニサボテンの場合は1年に1センチメートル大きくなるかならないかです。一般的なサボテンでも、大型の品種では1年に10センチメートル以上も大きくなることがあります。種類によって成長過程は大きく異なりますが、育て方によっても変わるのです。
2-4.花について
サボテンを上手に育てていけば、花を咲かせることができます。サボテンが花を咲かせる理由は、子孫を残すためです。乾燥地帯ではほとんど雨が降らないため、雨期に向けて活動を抑えています。雨期に突入すると活動を再開し、水分を補給して成長期に入り、種をつくるために花を咲かせるのです。室内で花を咲かせる場合は、自然に育つ環境をつくり出してあげなければなりません。休眠期は水やりを控え、成長期に入ったら水をたっぷり与えてください。後は、窓辺に置いて日光を当てることが大切です。
3.サボテンを成長させる育て方
サボテンを育てる前に、基本的な育て方や成長速度を速めるコツ・適した環境などについて把握しておかなければなりません。それでは、早速チェックしていきましょう。
3-1.基本的な育て方
サボテンの育て方は、季節によって異なります。成長期・休眠期に分かれているため、それぞれ異なる育て方をすることが大切です。季節ごとの違いだけでなく、水やりの方法・肥料についても説明します。
3-1-1.季節ごとの違い
サボテンの苗を植える場合は、3月上旬~4月上旬ごろがおすすめです。気温が低く乾燥しない冬の時期は、根腐れを起こす可能性があるので注意してください。寒さに強いサボテンであっても、苗植えは春にするといいでしょう。以下に、それぞれの季節・時期に合ったポイントをまとめました。
- 5~9月:成長期に入るので、水をたっぷりと与え、日光が当たる場所に置く
- 7~8月:成長が穏やかになる時期。水やりの回数を減らし、土を乾燥させる。直射日光の当たらない日向(カーテンで避けるなど)が好ましい
- 10~12月:休眠時期に入るので、水やりの間隔を徐々にあける
- 12~4月:休眠期突入。成長がほぼ止まるので、3~4週間に1回の水やりでOK
3-1-2.水やりの方法
季節ごとの育て方にも説明しましたが、水やりの方法も成長期・休眠期によって異なります。成長期となる春と秋は、土の表面が乾いたら鉢の底から流れ出るくらいに水をたっぷりと与えてください。7~8月の真夏は、2~3日あけて与えるといいでしょう。ただし、日中の水やりは水蒸気で株が蒸れる怖れがあるため、朝か夕方にしてください。休眠期に入る10~12月は2週間に1回、12~4月は3~4週間に1回で十分です。地面が凍る恐れがある場合は、水やりを止めましょう。
3-1-3.肥料について
基本的に、サボテンは栄養が少ない土でも育てることができます。肥料がなくても枯れることはありませんが、植え替え・苗植えのときには肥料を土に混ぜておいてください。ただし、たくさん肥料を与えすぎるのは危険です。根が肥料成分を吸収しきれずに、病害虫を引き寄せる恐れがあります。
3-2.成長速度を速めるコツは?
サボテンの成長速度を速めるコツは、日光と水やりです。植物は、光合成をくり返しながら成長し続けます。きちんと成長期には日光を当てて、十分な水を与えていかなければなりません。休眠期には水やりを控え、適度に日光を当てることが大切です。時期に適した育て方こそ、成長速度を速める大きなポイントとなります。
3-3.どんな環境が向いているか
サボテンの置き場所は、日当たりがよく、雨が当たらない場所です。乾燥地帯で育つ植物なので、日光が当たり、風とおしの良い場所を好む傾向があります。逆に、日当たりが悪く、風とおしの悪い締め切った場所に置きっぱなしにしてしまうと、枯れる怖れがあるので注意してください。室内で育てる場合は、1日に3~4時間日光に当てるといいでしょう。最低温度が10℃以下になる冬場は、室外から室内へと移し、日光に当たる窓際に置いてください。
3-4.そのほかのコツ
サボテンに元気がない場合は、追肥をしてください。ただし、追肥をするときは、一度に多く与えずに回数を分けて与えることが大切です。そして、休眠期には肥料を絶対に与えないでください。休眠期に与えてしまっては、根が吸収できずに腐れてしまいます。追肥は、生育期に月3~4回与えるといいでしょう。
4.サボテンの購入について
サボテンが購入できるところや業者選びのポイント・価格・注意点について説明します。
4-1.サボテンが購入できるところ
園芸店やホームセンターなどでサボテンを手に入れることができます。インテリアとしての人気が上昇しているため、サボテンを販売している雑貨店もあるのです。しかし、種類が限られている可能性もあるため、インターネットでの購入をおすすめします。サボテンの通信販売をしている「コピアポア」は圧倒的な品数をほこっており、ほかのショップでは扱っていない珍しい品種も購入可能です。ぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。
4-2.業者選びのポイント
質の良いサボテンを購入するためには、業者選びが大きなポイントです。悩んだときは、以下のポイントを参考にして選んでくださいね。
- 万全な管理体制を整っているか
- 健康状態の良いサボテンが購入できるか
- 品数が豊富か
- 品種ごとの栽培をサポートしているか
- 丁寧かつスピーディーな対応か
4-3.価格について
サボテンの価格は、4,000円~と種類・サイズによって異なります。価格が気になる方は、複数のショップを比較してみてください。ただし、安すぎるサボテンは質が悪い傾向があります。質の良いサボテンを購入するためには、信用できるショップを選ばなければなりません。
4-4.注意点
「価格よりも高めの額を請求された」「質の悪いサボテンが送られてきた」など、業者とのトラブルが起きています。悪徳業者もいるため、業者選びは慎重に行ってください。つい価格にばかり注目しがちですが、業者スタッフの対応・サービス内容・口コミや評判など細部までチェックすることが大切ですよ。
5.サボテンに関してよくある質問
サボテンに関してよくある質問を5つピックアップしてみました。
5-1.サボテンに向いている土は?
水はけと通気性の良い土が向いています。初めてサボテンを育てる方は、園芸店やホームセンターなどで販売している多肉植物・サボテン用の培養土を使ってください。自分でつくる際は、赤玉土(小粒)6:腐葉土2:川砂2の割合で混ぜた土がおすすめです。
5-2.サボテンの植え替えをする方法とは?
一般的に、サボテンは1~2年ごとに植え替えを行います。成長期は根の生育が速いため、土の栄養が足りなくなってしまうからです。3~4月が植え替えの適切な時期となり、冬場は根腐れを起こす可能性があるので向いていません。
5-3.接ぎ木(つぎぎ)とは?
接ぎ木(つぎぎ)は、2個以上の植物を人為的につくった切断面で接着し、1つの個体にすることです。「コピアポア」では、接ぎ木(つぎぎ)を自由にオーダーすることができます。
5-4.冬に注意すべきこととは?
冬の窓辺は冷え込みが激しく、サボテン本体が凍る可能性があります。日中は窓辺でも構いませんが、夜は場所を移し替えてあげましょう。しかし、暖房が効きすぎている部屋に置くのはNGです。サボテンの適温は最低5℃、最高40℃となります。
5-5.花が咲かない原因は?
花が咲かない原因は、花が咲く年齢や大きさに達していない可能性もありますが、ほとんどは育て方です。日光が足りない・水が多すぎる(または足りない)・環境が不適切・何年も植え替えをしていないなどが原因として挙げられるでしょう。育て方を改めて見直してみてください。
まとめ
サボテンの成長過程やスピードは、種類・大きさによって異なります。また、育て方が悪いと、成長せずにそのまま枯れてしまう恐れがあるのです。寒さや乾燥に強い植物ですが、成長期にはたっぷりと水を与えて、1日に最低でも3~4時間の日光を当てなければなりません。そして、休眠期には、水を与えずにきちんと休ませてあげてください。正しい育て方を把握しておけば、上手に育てることができるでしょう。