多肉植物の夏の育て方とポイントは? 押さえておきたい注意点も

多肉植物は、砂漠や海岸のような乾燥地帯に生育するものが多いため、夏の暑さにも耐えられる強い植物という印象を持っている方が多いでしょう。しかし、いくら暑さに強い多肉植物でも、夏の猛暑に耐えられず傷んでしまうこともあります。「砂漠の植物だから大丈夫」とタカをくくっていると、最悪な状態になる可能性もあるので注意が必要です。梅雨が明けると夏の猛暑が訪れるので、今のうちに多肉植物の夏の対策を把握しておきましょう。では、多肉植物の夏の育て方とポイントについて解説していきます。

  1. 多肉植物の夏の育て方は?
  2. 多肉植物でよくある夏のトラブルは?
  3. 多肉植物の夏の注意点とポイントは?
  4. 多肉植物の夏の育て方に関してよくある質問

この記事を読むことで、多肉植物の夏の育て方と押さえておきたいポイントが分かります。興味のある方はぜひチェックしてください。

1.多肉植物の夏の育て方は?

多肉植物の特徴を確認し、夏の育て方に必要な場所・環境・水やりについてチェックしていきましょう。

1-1.多肉植物の特徴と注意点をチェック!

砂漠や海岸など乾燥地帯で育つのが特徴的な多肉植物ですが、すべてが夏の暑さに強いわけではありません。多肉植物は「夏型」と「冬型」の2種類に分かれており、それぞれの生態が異なります。まずは、この2種類の生態をきちんと把握し理解することが大切なのです。

1-1-1.夏型の特徴

夏型の多肉植物は初夏~秋にかけて成長し、冬になると休眠状態に入ります。生育適温は約20~30℃で、初夏~秋が最適な成長条件です。ほとんどの夏型が日差しを好み、暑い日差しが降り注ぐ中でも元気に育ちます。しかし、「エケベリア」などは生育適温が約10~25℃となっており、夏に弱い種類もあるので注意が必要です。

1-1-2.冬型の特徴

冬型は夏型の真逆となります。気温が急上昇する夏場は休眠状態に入り、冬になるとぐんぐん成長するでしょう。生育適温は約5~20℃と夏型よりも低いのが特徴です。また、夏の日差しに弱い種類がほとんどなので、夏場は注意しなければなりません。できるだけ、20℃前後の環境で育てましょう。

1-2.育てる場所、適切な環境は?

夏は強い日差しが降り注ぐため、直射日光が当たる場所は控えてください。直射日光の当たらない場所に置くか、30~50%の光を遮る工夫をしましょう。たとえば、寒冷紗(かんれいしゃ)と呼ばれる布で多肉植物をおおうと、強烈な太陽光が緩和できます。直射日光が当たらず、少し陰るくらいの場所が最適です。

1-3.水やりの量に注意しよう

多肉植物はほかの植物よりも頻繁に水を与える必要がありません。葉や茎に多くの水分を保っているので1か月ほど水やりをしなくても元気に育つ植物です。しかし、夏場は暑さで水分が失われるため、土が湿るくらいに水を与えてください。かといって、水を大量に与えてしまうと太陽の熱で一気に蒸発し、蒸し風呂状態になってしまいます。バシャバシャではなく軽めに与えることが大切です。また、夏場の水やりは太陽が沈む時間帯の夕方が最適と言われています。日中は太陽光によって土と水の温度が上がり、大きなダメージになるので注意してください。

1-4.日当たり、風通しも大切

太陽光は植物の光合成に必要不可欠なものです。直射日光に気をつけつつ、日当たりの良い場所で育てましょう。そして、日当たりと併せて大切になるのが「風通し」です。理想的な風通しは「葉が揺らぐ程度」と言われています。夏の気温や日光によって、急激に鉢の温度が変化し短時間で多肉植物が腐ることもあるので、できるだけ風通しの良い場所へ移動させることが大切です。

2.多肉植物でよくある夏のトラブルは?

よくあるトラブルを把握しておけば、早めに多肉植物の異変に気づき対策ができます。また、暑さに強い種類もチェックしておきましょう。

2-1.葉やけ

夏のトラブルで最も多いのが「葉やけ」です。名前のとおり、葉が焼けてしまうことを指しています。人が日焼けをするように、太陽の光でヤケドを起こし葉が変色するのです。最悪の場合、多肉植物自体が枯れてしまうこともあります。元気な葉の色は緑ですが、葉やけを起こすと少しずつ茶色に変色するのが特徴です。原因は直射日光や強い日差しなので、日当たりの良いレースカーテン越しの窓辺に移動させたり、日光に当てる時間を短くするなど対策をしてください。

2-2.葉がぶよぶよになる

葉がぶよぶよになっている多肉植物は、根腐れを起こしているか、病気にかかっている可能性があります。夏場は適宜な水やりが必要ですが、水を与えすぎてしまうと根腐れが起こるのです。過剰に水やりをしないことが1番の対策となります。また、湿度が高すぎる場所で育てていると、赤くされ病・黒くされ病・黒斑病・すす病などの病気にかかることもあるのです。病気防止のためにも、風通しの良い場所で育てましょう。

2-3.暑さに弱い、暑さに強い種類とは?

以下に、暑さに弱い・暑さに強い多肉植物の種類をいくつかピックアップしましたのでぜひ参考にしてください。

<暑さに弱い多肉植物>

  • エケベリア
  • 黒法師(クロホウシ)
  • クラッスラ
  • コノフィツム
  • セネキオ
  • フォーカリア
  • リトープスなど

<暑さに強い多肉植物>

  • アロマティカス
  • カラスミセバヤ
  • アロエ
  • クイテンシス
  • ゴールデンラビット
  • サブセシリス
  • サルメントーサ
  • シャビアナ
  • シルバーグラス
  • シルバースター
  • ハートカズラ
  • バイネシーなど

育てている多肉植物のタイプが分からない場合は、園芸店などに尋ねてみると良いでしょう。多種多様な多肉植物を販売している「コピアポア」でも、メールまたは電話にて相談を受け付けているのでぜひ1度チェックしてください。多肉植物のタイプを知らないまま育てるのが1番危険です。育てている多肉植物の特徴を把握しておきましょう。

3.多肉植物の夏の注意点とポイントは?

それでは、多肉植物の夏の育て方における注意点と、ポイントについて解説します。

3-1.風通しの悪い場所には扇風機を使う

部屋の間取りなどから、「どうしても風通しの悪い場所しかない……」と悩んでいる方もいるはずです。そんなときは、扇風機やサーキュレーターなどのアイテムを活用してください。これらのアイテムを使用して多肉植物に風を当ててあげるだけでも環境が良くなります。特に、ギュウギュウに多肉植物を密集させている場合は、暑さがこもりやすいので注意が必要です。また、夏場は間隔を空けて鉢を置くようにしてください。

3-2.窓のないトイレに置かない

よく、多肉植物をトイレに置いている方を見かけますが、夏場は熱がこもりやすい場所なので注意が必要です。窓があれば、定期的に風を入れることができるでしょう。しかし、真っ暗で出窓がない環境は熱がこもるだけでなく、生育に必要な光を当てることもできません。非常に悪い環境なので、窓のないトイレには置かないでください。

3-3.常に多肉植物の状態をチェックする

注意していても多肉植物がいつの間にか枯れてしまうことがあります。初心者でも簡単に育てられる植物ですが、お世話をしなくて良いわけではありません。特に、夏場は冬型の多肉植物の元気がなくなってしまい枯れやすくなるため、常に状態をチェックしましょう。葉の色や茎の状態、土が乾いていないかどうかも確認が必要です。

3-4.夏場は植え替えをしてはいけない

多肉植物を増やしたり生育を促したりする際に行なう「植え替え」ですが、夏場は湿度が高く気温も上昇しているので、植え替えは控えてください。多肉植物にとってはつらい季節に突入するため、植え替えをすると根に大きな負荷がかかってしまいます。植え替えは春や秋など、すごしやすい時期に行うのがおすすめです。

3-5.エアコンの風に要注意!

夏場は室内でクーラーを使う機会が増えますが、エアコンの風が直接当たる場所に置かないように気をつけてください。なぜなら、エアコンの風で多肉植物に大ダメージを与える可能性があるからです。冷風だけでなく温風でも直はいけません。

3-6.屋外で多肉植物を育てるポイント

多肉植物は屋外での育成に最適な種類と言われていますが、夏場は日差しが強くなるので「日よけ」と「水やり」の2点が大切なポイントです。前述したとおり、夏場は明るい日陰に移動するか、日よけをしてあげてください。そして、水やりをする際は、土の湿度をチェックしましょう。鉢に竹串などを刺しておき、8割以上乾いている状態なら水をたっぷり与えても大丈夫です。また、葉が少ししわっとなり張りがなくなっているときも水やりのタイミングと言えます。

4.多肉植物の夏の育て方に関してよくある質問

多肉植物の夏の育て方に関してよくある質問を6つピックアップしてみました。

Q.強い日差しでも大丈夫な多肉植物はあるのか?
A.多肉植物のほとんどは夏の強い日差しに弱い傾向がありますが、中には強い日差しでも大丈夫な種類があります。代表的な種類は、アガペ・アロエ・カランコエ・アポニア・パキポディウム・アデニウムなどです。これらの多肉植物は熱帯地方原産の夏型で、強い日差しを好む性質を持っています。ただし、ジメジメしたところに弱いので湿度が30%を超えない場所で育てることが大切です。

Q.どのくらいの頻度で水を与えたら良いのか分からない……
A.夏場の水やりの目安は、3~4日に1回です。水をたっぷり与えてしまうと根腐れや葉やけを起こす原因となるため、霧吹きで軽く水を与えてください。表面の土が少し湿るくらいの量がベストです。また、余裕があるなら毎日多肉植物の状態をチェックし、土の中の湿り具合を確認しましょう。

Q.屋外で置いてはいけない場所は?
A.直射日光が当たる場所はもちろんのこと、室外機の熱風が当たる場所もNGです。いくら風通しの良い場所だとしても、1日中室外機からの熱風が当たるので多肉植物が傷んでしまいます。マンションやアパートに住んでいる方は、ベランダが狭く室外機の熱風が当たる場所しか置けないかもしれません。そんなときは屋外ではなく、風通しが良く日当たりが適度に当たる窓辺などに置いて育ててください。

Q.葉がぶよぶよになってしまったらどうすれば良いのか?
A.根腐れが原因の場合は、腐っている根をカットしてください。多肉植物を土から掘り起こし、根についた土をやさしく丁寧に落とした上で腐っている部分をキレイなはさみでカットします。そして、新しい土を入れた鉢に植え替えましょう。病気または害虫が原因の場合は、薬剤や殺虫剤を使います。ただし、病状が株全体にまでおよんでいたり葉や茎が変色したりしている場合は、もとに戻らない可能性が高いでしょう。

Q.元気がないときに肥料を与えても良いのか?
A.基本的に、多肉植物に肥料を与える時期は「夏型」が5~6月、「冬型」は4~5月です。夏場に与えても問題ありませんが、最適な環境で育てていなかったり、水を与えすぎていたりするのが原因の可能性があります。そのため、肥料を与えるよりも生育環境を見直したほうがベターです。

Q.「春秋型」の夏の育て方は?
A.多肉植物の多くは夏型と冬型に分かれていますが、どちらにも属さない「春秋型」もあります。春秋型は春と秋が生育期に入り、夏場は風通しの良い半日陰で育てましょう。水やりは1か月に3~4回が理想的です。夏場は湿度が高くなるため、湿度に弱い春秋型は育ちにくくなります。できれば、湿度が50%以下の環境で育ててください。

まとめ

いかがでしたか? 多肉植物の育て方は簡単と言われていますが、夏の暑さに弱い特徴があるため、こまめに水やりをしたり直射日光の当たらない場所に移動したりなど工夫が必要です。また、夏は葉が焼けたり、ぶよぶよになったりすることもあります。トラブルに迅速かつ的確な処置をするためにも、しっかりと多肉植物の特徴を把握し、夏越しの対策をするのが大切です。