サボテンは、サボテン科に属する植物の総称でさまざまな種類があります。サボテンといえば、トゲがたくさんついているイメージがありますが、トゲがないものもあるのです。初めて栽培に挑戦する初心者でも、簡単に育てられ、インテリアとしても楽しめることで人気が急上昇しています。しかし、上手に育てるためには、正しくお世話をすることが大切です。種類ごとの特徴が知り、育て方の基本を知ることで上手にサボテンを育てることができます。本記事では、サボテンの種類や育て方の特徴・ポイントについて解説していきましょう。
この記事を読むことで、サボテンの特徴と育て方のポイントが分かります。気になっている方は、ぜひ参考にしてください。
1.サボテンの基礎知識を知ろう!
まずは、サボテンの原産地・種類など、基本的な情報をチェックしておきましょう。
1-1.サボテンとは?
サボテンは、サボテン科に属する植物の総称で、そのほとんどの原産地がアメリカやメキシコなど南米大陸を中心とした乾燥地です。砂漠のような乾燥地帯に生える植物が多いので、暑さに強いイメージが強いでしょう。しかし、中には標高の高い地域や肌寒い寒冷地など、暑さに弱く寒さに強い種類もあります。
1-2.サボテンの種類、人気は?
サボテンは、およそ2,000種類以上の品種があるといわれており、主に「大型種」「中型種」「小型種」の3つに分かれています。大型種は柱サボテンともいわれ、ぐんぐんと高く伸びるのが特徴です。一方、中型種は大型種のように高くなる品種はありませんが、硬い肉質・トゲがあるものが多く、小型種は小さめのサイズで手入れがしやすい特徴があります。最近、人気が高まってきているのは小型種で、場所を気にせずいろいろなところに置いて育てられると好評です。
1-3.多肉植物との違いは?
サボテンは多肉植物の一種ですが、一般的には「刺座(アレオーレ)」の有無で区別されています。サボテンのとげの綿毛のような白い部分のことを刺座といい、あるのが「サボテン」、ないのが「多肉植物」です。サボテンの中には、トゲがないタイプがありますが、茎や葉の部分に刺座があります。
2.サボテンの育て方の基本
それでは、押さえておきたいサボテンの基本的な育て方について解説します。
2-1.基本的な育て方をチェック!
サボテンは日当たりの良い場所を好むタイプがほとんどです。ただし、夏の強い直射日光に弱い傾向があるため、直射日光を避ければ屋外でも育てることができます。室内でも日当たりの良い場所で育てるのが基本です。地植え・鉢植えどちらの方法でも栽培が可能なので、自分好みのサボテンの種類に合わせて選択すると良いでしょう。たとえば、小型種は小さめの鉢植えで育てるケースがほとんどです。
2-2.必要な道具は?
ほかの植物よりも育てやすいサボテンの場合、特に特殊な道具は必要ありません。最低でも、サボテンの苗・鉢植え・用土・ミニスコップ・剪定用ハサミがあれば、上手に育てることができます。植え替えの際は、肥料を用意すると安心です。また、サボテンの土を選ぶ際は、できるだけ水はけ・通気性の良い土をおすすめします。サボテン専用の土があればベストです。
2-3.育て方の特徴は?
前述したとおり、サボテンは直射日光が当たらない場所に置いて育てるのが基本です。室温は人間が快適に感じる20~25℃前後、冬場は5℃以下にならないよう気をつけてください。また、サボテンは湿気を嫌うため、結露がつきやすくなる梅雨時期などは窓辺に置かないようにしましょう。雨に直接当てるのもNGです。真夏は部屋を閉め切ると蒸し風呂状態になるため、風通しが良いベランダ(日陰)に置くと良いでしょう。
3.サボテンの特徴~根・花・トゲ
サボテンの特徴となる根・花・トゲの3点について解説します。
3-1.根
サボテンは主根が深く伸びる対応が多く、根の中は水分がたっぷりと含まれています。根の主な形態は、塊状根・大根状・カブ状の3つです。いずれも、主根に細かい根や細い根が付随しています。
3-2.花
トゲトゲしいイメージが強いサボテンですが、花を咲かせる種類がたくさんあります。花を咲かせるためには、温度・湿度・日当たり・水やりなど基本的なお世話が必須条件です。きちんとお世話をするからこそ順調に育ち、花を咲かせることができます。しかし、完璧なお世話をしても、毎年花を咲かせるわけではありません。たとえば、「金鯱(キンシャチ)」と呼ばれる品種は、開花するまでに約30年かかるといわれています。
3-3.トゲ
サボテンの大きな特徴といえば、「トゲ」でしょう。そもそもトゲは、サボテンの茎から生えた枝・葉が形を変えたものです。サボテンを食べようとする外敵から守るという大切な役割を担っています。トゲに毒はありませんが、1度刺さってしまうと抜き取るのが大変なので幼児やペットが届く範囲には置かないほうが良いでしょう。サボテンのすべてにトゲが生えていると思われがちですが、トゲが生えていないものや、毛のような柔らかいものが生えている種類もあります。
4.サボテンの特徴~植え替えや増やし方
元気な状態で育てるために「植え替え」は必要です。では、どのような方法ですれば良いのでしょうか。サボテンの増やし方についてもあわせて解説します。
4-1.植え替えのポイント
サボテンの植え替えは、「タイミング」「土」「元肥(もとごえ)」「鉢」の4点が大切なポイントです。それぞれのポイントについて一緒に見ていきましょう。
4-1-1.植え替えのタイミングは「春」と「秋」がベスト
サボテンの植え替えは、生育期に入る直前の「春」と「秋」がベストだといわれています。種類によって生育期は異なりますが、「春」と「秋」を目安にしておけば問題ありません。夏は暑すぎたり冬は寒すぎたりするため、植え替えをすると根に大きな負荷がかかってしまいます。
4-1-2.サボテンに適した土を選ぶ
サボテンに適した土は、通気性・排水性・保肥力が優れているタイプです。できれば、サボテン専用の土を利用してください。自分で作る場合は、小粒の赤玉土(4割)・鹿沼土(2割)・日向ぼら土(2割)を混ぜましょう。
4-1-3.元肥を施す
絶対に必要ではありませんが、植え替えの際に肥料を与えることで生育が良くなります。一般的に、観葉植物の場合は土の上に固形肥料を置いたり液肥を与えたりしますが、サボテンの場合は水を与える回数が少ないため、元肥という方法で与えるのが基本です。植え替えの際に、肥料を一緒に植え込むのが元肥の方法となります。効き目がゆっくりと続く緩効性肥料を、適量鉢底に入れましょう。
4-1-4.バランスに合った鉢を選ぶ
鉢のサイズは、サボテンよりもひと回り大きめのサイズを選ぶのがベストです。大きすぎると土が乾きにくくなり、逆に小さすぎると窮屈になり茎や根に負荷がかかってしまいます。植え替えの際に、サボテンが大きくなっている場合は、既存の鉢よりも大きめのサイズを選びましょう。
4-2.植え替えの手順、方法は?
手順はシンプルなので、基本的なやり方を覚えておくだけでOKです。サボテンの植え替えは、以下の手順を参考にしてください。
- 既存の鉢のフチを軽くたたき、ゆっくりとやさしく根を抜き取る
- 古い土をやさしくもみ落とし、伸びすぎた根を5cm前後に切り詰める
- 新しい鉢底の穴をネットでふさぎ、鉢底の土を2cm程度入れる
- サボテンの根を鉢に入れ、サボテン専用の土(または観葉植物用の土)で植え込む
- 鉢のフチを添うように割りばしで突き、用土をなじませる
- 根がなじむまでの間、日当たりの良い窓辺に置き、ティッシュペーパーを1~2週間程度かぶせる
4-3.増やし方は?
「株分け」や「葉挿し」という方法で、サボテンを増やすことができます。
4-3-1.株分け
サボテンから根・茎を切り離し、新しい株を作る方法です。まず、サボテンの茎から出ている子株をカッターまたはピンセットで切り取ります。切り取った子株の切り口が乾燥するまで1週間~10日程度日当たりの良い場所に置いておき、乾燥したら土と肥料が入った鉢へ挿し込むようにして植え込みましょう。後は、10日ほど水やりをせず、根が成長するのを待つだけです。根が張り始めたら、水を与えてください。
4-3-2.葉挿し
葉挿しは、サボテンの葉を利用した増やし方です。サボテンの葉を1枚ずつ取りはずし、用意した土の上に並べていきます。ここでのポイントは、葉の向きをあお向けの状態にすることです。「葉挿し」という名前から葉を土に挿すイメージがありますが、土の上に置くだけで根が出てきます。数日して根が出てきたら、水を与えてください。そして、ピンセット等で浅いくぼみを作り、軽く土を根にかけて埋めてあげましょう。
5.サボテンの特徴~病気や注意点
初心者でも育てやすいサボテンですが、いくつか注意しておきたい点があります。
5-1.水やりに要注意!
乾燥地域でも元気に育つイメージが強いですが、サボテンにも水が必要不可欠です。「水やりを忘れて枯らせてしまった」という失敗が多いので、水やりを忘れないように注意してくださいね。基本的に、土が完全に乾いた状態で、鉢の底から水があふれ出るまでたっぷりと与えます。
5-2.病気・害虫は?
サボテンでも育て方を誤ると、病気・害虫の被害に遭(あ)う可能性があります。サボテンによくある病気・害虫は以下のとおりです。
<病気>
- 黒斑病:黒い斑点が特徴で、灰色のカビが生える
- すす病:トゲにすすのようなカビが生える
- 赤くされ病:根元や根が赤く、柔らかくなる
- 黒くされ病:根元や根が黒く、柔らかくなる
<害虫>
- ダニ:サボテンのツヤがなくなり赤くなる
- ナメクジ:若い苗や花を食べ枯れる
- ワタムシ:葉の付け根や成長点に白い線のような虫がつく
- カイガラムシ:小さな貝殻のような虫がつく
5-3.根腐れに気をつけよう!
ほかにも、気をつけておきたいのは、「根がぶよぶよになること」です。根がぶよぶよになるのは根腐れを起こしている証拠で、水のやりすぎが主な原因となります。そのまま放置すると株全体に症状が広がり、手遅れな状態になるので注意が必要です。株にある程度の大きさがあれば、腐敗した部分を取りのぞき、植え替えで元気にさせることができます。
6.サボテンに関してよくある質問
サボテンに関してよくある質問を5つピックアップしてみました。
Q.育て方に季節ごとの違いはあるのか?
A.春と秋は成長期に入るため、水をたっぷりと与え日当たりの良い場所に置いて育てます。成長が穏やかになる夏は水やりの回数を減らし、土を乾燥させましょう。直射日光が強くなるため、室内でもカーテンで日射しを避けてください。冬は休眠時期に入るので水やりの間隔を少しずつ空(あ)けていき、12~4月は3~4週間に1回でOKです。
Q.どんな種類が育てやすいのか?
A.おすすめは「小型種」です。品種でいうと、オプンチア属・エキノプシス属・コリファンタ属・ブラジリカクタス属となります。たとえば、オプンチア属のスミエボシは、西部劇のワンシーンを思わせるシルエットで、インテリアとしても楽しむことができるでしょう。
Q.病気・害虫の被害に遭ったときの対処法は?
A.菌が原因で起きる病気の対策としては、なるべく風通しの良い場所に置くことです。サボテンの茎の色が変わってしまっている場合は、その部分を切除してください。切除部分を30分ほど日光に当て、日陰で数か月間乾燥させます。しっかりと乾燥させた後は新聞紙で包むと、発芽するので土に植え替えましょう。
Q.元気がないときはどうすべきか?
A.薄めた液体肥料を根元に与えてみてください。そして、風通しと日当たりの良い場所に置き、様子を伺いましょう。基本的に肥料は必要ありませんが、真夏以外の春から夏に1~2回与えることで、元気を取り戻し、すくすくと成長します。
Q.サボテンの育て方について相談したい……
A.サボテンの通信販売を行っているコピアポアでは、どのような内容でも相談を受けつけています。ホームページのフォームまたは電話で受けつけているので、ぜひ1度ご相談ください。
まとめ
いかがでしたか? サボテンは初心者でも育てやすい植物として知られていますが、暑さに強いタイプや寒さに弱いタイプなど、種類ごとに特徴があります。上手に育てるためには、育てるサボテンの特徴をしっかりと把握しておくことが大切です。病気や害虫の被害に遭う可能性があるので、予防と対策法も把握してください。また、株分け・葉挿しなど増やす方法があります。基本的な育て方を知り、サボテンを楽しく育てていきましょう。