サボテンが黒斑病か知りたい! 判断基準や原因・対処法を解説!

初心者でも育てやすいといわれている「サボテン」は人気品種です。しかし、育て方を誤れば「黒斑病(こくはんびょう)」という病気にかかる可能性があります。特に、葉の平たいサボテンがかかりやすい病気で、黒斑点が広がり灰色のカビが生え始めたら早めの対処が必要です。放置すれば対処できない状態にまで悪化してしまいます。そうならないためにも、黒斑病の原因と対処法・予防法をチェックしておきましょう。

  1. サボテンの黒斑病~主な原因は?
  2. サボテンの黒斑病~正しい対処法は?
  3. サボテンの黒斑病~未然に防ぐポイントは?
  4. サボテンの黒斑病に関してよくある質問

この記事を読むことで、サボテンが黒斑病にかかったときの正しい対処法と予防法が分かります。サボテンを育てている方はぜひチェックしてください。

1.サボテンの黒斑病~主な原因は?

それでは、まず、黒斑病の基礎知識をチェックしておきましょう。

1-1.病気にかかったときの症状をチェック!

サボテンが病気にかかったときは、何かしらの症状が現れます。たとえば、以下のような症状が現れるでしょう。

  • ぐったりと萎(な)える
  • 茎が細くなる
  • 横に傾き始める
  • 茎や葉が変色する

上記の症状は、一見「元気がないだけ」と捉えがちですが、実は病気の場合が多いのです。いきなり蕾(つぼみ)がたくさんつくような症状も、原因が病気の可能性があります。症状にいち早く気づくためにも、日ごろからサボテンの状態を確認しておいたほうがいいでしょう。

1-2.黒斑病に似たような病気は?

黒斑病は、葉が平たいサボテンにかかりやすい病気だといわれています。たとえば、シャコバサボテン・ジントウ・クジャクサボテンなどです。これらのサボテンの葉に黒い斑点が広がり、灰色のカビが生えてくるのが黒斑病の特徴ですが、類似した病気があります。それは、茎が黒くなり腐る「黒腐れ病」や、サボテンのトゲの根元に黒いすすのようなカビがつく「すす病」です。黒斑病のようにサボテンが黒くなるため、初心者が間違えるケースが増えています。

1-3.見極めるポイントは?

黒斑病を見極めるポイントは「葉に現れる黒い輪紋(りんもん)」です。ほかの病気は黒く染まるだけですが、黒斑病は黒い点々が葉っぱに現れる傾向があります。最初は、葉に褐色の小さな斑点ができ、古くなるにつれて大きい黒斑へと変わっていくのです。また、黒斑病の発生時期は4~10月ごろで、多湿かつ気温が高い時期が続くほど発病しやすくなります。

1-4.黒斑病でない場合もある!?

黒斑病のほかに、よく発病する病気とその特徴を、以下にまとめたので参考にしてください。

  • 赤腐れ病:根元や茎が赤くなり腐る
  • 黒腐れ病:根元や茎が黒くなり腐る
  • すす病:サボテンのトゲの根元に黒いすすのようなカビがつき、次第に広がる
  • そのほか:ダニやカイガラムシ・線虫などの害虫で病気のような症状が出る

2.サボテンの黒斑病~正しい対処法は?

では、実際にサボテンが黒斑病を発病した場合、どのように対処すればいいのでしょうか。詳しく解説します。

2-1.原因は水はけの悪さ

黒斑病の主な原因は、「水はけの悪さ」がほとんどです。水はけの悪い土壌で発病しやすい傾向があり、株が弱まっているほど感染しやすくなります。サボテンの場合、過剰な水やりで土壌の水はけが悪くなり、黒斑病を発病するケースが増えているので「水やりの頻度」に注意が必要です。特に、雨の日が続く梅雨の時期なのは湿度が高くなり、水はけが悪くなります。

2-2.水やりに注意

土が完全に乾くまでに次から次へと水を与えることで、水はけが悪くなる傾向があります。つまり、日照不足で風通しの悪い環境で育てると、黒斑病に発病しやすくなるというわけです。サボテンは太陽が照りつける乾燥地帯で元気に育つ植物という特徴があります。基本的に、毎日水やりをしなくても、太陽の光を適度に浴び、風通しの良い場所で育てることが大切です。黒斑病の症状が現れたときには、育生環境を見直すべきでしょう。

2-3.毎日の観察と正しい水の与え方

日ごろから気をつけておきたいのは、サボテンの状態をチェックすることです。前述したとおり、サボテンは黒斑病だけでなく、さまざまな病気を発症する可能性があります。異常がある=黒斑病とは限らないため、どんな症状が出ているのか細かく確認しなければなりません。日ごろから状態をチェックしておけば、早期発見につながります。
また、土が乾いてから水やりをするように心がけましょう。必ず毎日与える必要はありません。水をたくさん吸い上げる春と秋は2週間に1度、夏と冬は1か月に1度の水やりで十分です。特に、梅雨の時期は土が乾燥しにくく湿っている状態が続くので、水やりは控えめにしておきましょう。

2-4.腐った部分を切り落とす

黒斑病を発病したら、すぐに腐った部分を切り落としてください。黒斑病にかかった葉や茎を放置すると、カビの胞子がどんどん増殖し、いずれは株全体を腐らせてしまうことになります。症状が現れた葉を切り取り、根が腐ってしまった場合はその部分を切り落として乾燥させれば新しい根が出てくるでしょう。

2-5.薬剤を塗布する

対処法として、サボテン(植物)専用の薬剤を塗布するのも方法の1つです。サボテンを取り扱っている園芸店などで、専用の薬剤が手に入ります。カビなどの菌を除去するための成分が含まれているので、即効性が期待できるでしょう。ただし、説明書をよく読み、用法・用量を正しく守ることが大切です。たくさん使うほど早く治ると思われがちですが、きちんと正しく使用したほうが効果を発揮します。

3.サボテンの黒斑病~未然に防ぐポイントは?

黒斑病にかからないためには、正しい育て方はもちろんのこと、原因に応じた対策が必要です。ここでは、サボテンの黒斑病の防止ポイントを解説します。

3-1.多湿な環境を避ける

前述したとおり、黒斑病は多湿な環境ほど発病しやすくなります。日ごろから水のやりすぎに注意し、多雨時期はできるだけ風通しのいい場所にサボテンを移しましょう。室内で育てる場合は、定期的に風が当たる場所へ置いてください。窓をいつも閉め切っていると、多湿な環境になってしまうので要注意です。

3-2.株元をキレイにする

サボテンの近くでほかの植物を育てる場合、落花・落ち葉を取りのぞき、株元をキレイにしておきましょう。株元に空気が通らない環境は、多湿な状態を作り黒斑病が発病しやすくなります。サボテンの周囲に極力ものを置かないようにするのも大切です。特に、室内で育てる場合は、株元がホコリで埋まる可能性もあるので注意してくださいね。

3-3.鉢受けの水をこまめに捨てる

室内でサボテンを育てる場合、鉢受けに水が溜(た)まるでしょう。そのまま水を放置していると、水はけが悪くなり、湿気が溜まりやすくなります。サボテンに水をあげた場合は、必ず鉢受けの水を捨ててください。また、水を放置すると蚊など害虫が発生する原因にもなるので気をつけましょう。

3-4.薬剤は黒斑病防止にもなる

薬剤の使用に抵抗がない方は、黒斑病防止のために使用するのも方法の1つです。日ごろからこまめに薬剤を散布し防止しておきましょう。サボテンの状態を見ながら、間隔をあけて継続し薬剤散布すると殺菌効果がアップします。ちなみに、有効な薬剤は「ベニカDX」「オルトラン」「ダコニール1000」などです。ただし、薬剤散布する際は、同じ種類の薬剤を続けて使用してはいけません。薬剤が効かなくなる可能性があるため、2~3種類程度の薬剤を定期的に代えて使用するのがポイントです。

3-5.完全に復活できるのか?

早期発見で感染した部分を除去すれば、元通りになる可能性が高めです。しかし、黒斑病が進行し株全体に症状が現れている場合は、完全に復活できないでしょう。よくあるのが、「サボテンは毎日世話をしなくていいから」と様子を見ていなかったせいで、手遅れの状態になってしまうケースです。確かに、頻繁な世話は必要ないですが、黒斑病にかかると進行が速くいつの間にか手遅れ状態になることもあるため、あまく見てはいけませんよ。
もし、サボテンに元気がない場合は、液体肥料を規定量に薄め、生育期(4~6月、9~10月)に月3~4回与えるといいでしょう。一度に多くではなく、少しずつ与えることがポイントです。

3-6.サボテンは屋内で育てたほうがいい

サボテンを屋外で育てる方もいますが、屋内よりも温度・湿度のコントロールが難しく、黒斑病をはじめとした病気にかかりやすい傾向があります。さらに、屋外は季節・天候の影響を受けやすく、季節によっては雨水が入りやすくなりがちです。毎日こまめに様子を見るなら構いませんが、極力室内で育てることをおすすめします。

3-7.感染箇所を除去する際の注意点

黒斑病に感染したときに、症状が見られる箇所を剪定(せんてい)用ハサミでカットすると思いますが、実はそのときに使用するハサミが状態を悪化させる原因になることがあります。ハサミにカビ菌などが付着していると、そこが感染元になるのです。そのため、カットする前に、ハサミをアルコール等で消毒しておきましょう。また、カットした部分の切断面もアルコールで消毒しておくと、感染を防ぐことができます。

4.サボテンの黒斑病に関してよくある質問

サボテンの黒斑病に関してよくある質問を5つピックアップしてみました。

Q.寄せ植えはしないほうがいいのか?
A.さまざまな種類のサボテンを同じ箇所で育てる寄せ植えは、オシャレなので人気がありますが、やり方を間違えると発病の可能性が高まります。たとえば、ギュウギュウ詰めにするのはNGです。サボテン同士の間隔が近くなると、お互いが邪魔になり、水はけが非常に悪くなります。初心者がいきなり寄せ植えをするのはリスクが高いので、まずは1種類から育てて慣れましょう。ある程度慣れたら、3~4種類ほどのサボテンを決めて寄せ植えに挑戦してください。

Q.黒斑病を防ぐ水やりのポイントは?
A.夏は水道水をそのまま与えても大丈夫ですが、冬場に冷たい水を使うのは控えてください。なぜなら、冷たい水を与えるとサボテンが傷むおそれがあるからです。冬場は冷たい水ではなく、15℃前後のぬるま湯を与えるのがポイントとなります。また、直接じょうろで水やりをするよりも、霧吹きを使用したほうが、根だけでなく葉全体に水を与えることができるのでおすすめです。乾燥防止につながり、生育を促すポイントにもなります。

Q.病気にかかりにくいサボテンはあるのか?
A.どのサボテンも基本的に育て方や生育環境を間違えると、発病のリスクが高まります。大切なのはサボテンの種類ではなく、株の選び方にあるのです。サボテンを育てる場合、好みの種類を選ぶことになりますが、やや弱っている株などは病気にかかりやすい傾向があります。直接園芸店等で購入する場合は、できるだけ立派な株のサボテンを選びましょう。少しでも色がおかしいサボテンは選ばないようにしてくださいね。

Q.サボテンの育生に最適な環境は?
A.サボテンは光を好む植物なので、光の当たる窓辺か屋根のある屋外がおすすめです。室内の場合は、できるだけ直射日光が当たらない風通しと日当たりのいい場所を選びましょう。特に、日差しが強い夏場は、直射日光を浴びると葉や茎が傷つく可能性があります。季節によって置き場所を変えるのも育て方のポイントですね。

Q.黒斑病について相談したい……
A.不安点や疑問点がある場合、サボテンに詳しい店舗または業者に相談しましょう。多数のサボテンを取り扱っているコピアポアでは、どのような相談にも丁寧に対応しております。黒斑病について悩んでいる方は、ぜひ1度ご相談ください。

まとめ

いかがでしたか? サボテンが黒斑病にかかる主な原因は、湿気と水はけの悪さといわれています。サボテンはもともと乾燥地帯で力強く育つ生命力があるため、土に水気がありすぎると病気にかかりやすくなるのです。黒斑病にかかっている部分を除去した後は、育生環境を見直しましょう。そして、サボテンに水をやるタイミングなど、正しい育て方を知ることが大切です。